渡邉ノート

寄付文化の醸成と、里山福祉の研究(渡邉洋一)

 地域福祉は、地域社会で‘安心して日々の生活を重ねていく’ことであり、生き甲斐を持ち、隣り近所で役割を果たし合うことから、創られる‘安寧な暮らし’のことです。
 もちろん、必要があれば、公的に支援を受けることができます。
 その意味では、自分や家族の生活には、自己責任が第一にあり、公的援助は必要に応じて受けることとなります。
 寄付文化は、税を第一の責任としますが、安心を創り出す「地域の基金」のことで、多くの善意と参加の志です。
 もちろん、税による福祉サービスには、第一の公的責任がありますが、「愛」が込められ、安寧な暮らしのためには、寄付による活動も豊かになってほしいと思います。
 この寄付文化は、英国では1602年のチャリティ法が作られてから、ボランティア活動と併せて、寄付を集める活動として豊かになりました。
 2年前には、約1兆円の募金によって、NPO活動などに使用されました。
 このように、何でも行政に頼ると消費税などが高くなるだけ、自分たちができることは自分たちでやるという英国の市民の意識には驚かされます。
 このような寄付文化を少しずつでも考えて里山福祉を推進したいものです
 
[渡邉洋一 元・青森県立保健大学社会福祉学科教授]