渡邉ノート

里山福祉(食と農と福祉の連携)を考える(渡邉洋一)

 地域における食と農と福祉の連携に関する実践事例検討会(農水省所管)報告書

 平成26年度に地域における食と農と福祉の連携に対する実態調査業検討委員会では平成27年3月末に報告書が公表しています。
 この委員会の目的は、既存の農業政策や福祉政策における課題を改革する方向を模索することでした。
 具体的には、農山漁村地域が培ってきた集落の暮らし(食の文化と農の文化の融合による素朴な暮らし)を地域福祉の観点から吟味し、地域活性化につなげていくため、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省の協力のもと、農林水産省食料産業局を事務局として「地域における食と農と福祉の連携のあり方に対する実態調査」検討委員会」が設置されています。
 筆者が座長を務めさせていただき、報告書を同年3月末にまとめることができました。
 この報告書は、介護予防や生き甲斐の創造による社会参加や子育てを可能とする地域社会の在り方を検討して先駆的な事例を調査することでした。
 特に、社会福祉法人や農業関係団体では「税金に依存した仕組みや体質」があって課題として指摘されています。
 また、社会福祉分野(労働環境・人材確保問題等)や農業分野(後継者不足等)では閉塞感が危惧され課題が山積していました。
 この報告書では、この両分野を連携することで、さらに、‘食’の視点を組み入れることで、地域の暮らしの力を強化して、人と人の繋がりを豊かにすることから、安心観のある暮らしを再構築する必要性を指摘しています。

 [渡邉洋一 元・青森県立保健大学社会福祉学科教授]